人生で初めて、リリースできた「ナンバータッチ」というゲームアプリ。
画面に表示された数字を順番にタッチしていくだけのシンプルなゲームだ。ルールは誰でもわかる。1から順番に、できるだけ速くタッチする。それだけ。
もともとは自分が遊びたくて作り始めたものだった。
ついでに、リリースできたらうれしいなあ!って感じで始めた。
作り始めたら意外と楽しくて、気づいたらけっこうちゃんとしたアプリになっていた。
とりあえず、アプリとして動けばいいやぐらいの気持ち・・・
なので、はじめはもっとシンプルな画面だった。
それが、Androidアプリをリリースするための関門、クローズドテストという審査中に
テスターの方々にアドバイスをいただき、現在のデザインになっていった。
Androidアプリをリリースしてから、しばらくたった。
今度はiOS版に挑戦したくなった。
アプリを作っていることは内緒にしていたので、今回初めて父親に言ってみた。
まず最初に言われたのが、
「文字が小さくて見えない。」
正直、全然想定していなかった。自分のスマホで開発して、自分の目で確認して、「うん、いい感じ」と思って出した。
でも、考えてみれば当たり前だ。自分の目が基準になっていただけで、世の中には老眼の人も、小さい画面のスマホを使っている人もいる。父親に言われなかったら、たぶんずっと気づかなかった。
すぐに修正した。数字のフォントサイズを大きくして、ボタンのタッチ領域も広げた。ついでに、全体的なレイアウトも見直した。
自分では「ちょっと大きすぎるかな?」と思うくらいがちょうどよかった。修正後に父親に見せたら「おっ、見えるようになったな」と言ってくれて、それだけで嬉しかった。
このとき学んだのは、自分が使えるものと、人が使えるものは違うということだ。
当たり前のことなんだけど、個人開発をしているとつい忘れてしまう。テストするのも自分、確認するのも自分。自分という一人のユーザーの感覚だけで完結してしまう危うさがある。
身近な人の「見えない」という素朴な一言が、いちばん大事なフィードバックだったりする。
それから、デイリーランキング機能を追加した。
最初はデイリーランキングなんていらないと思っていた。自分のベストタイムを更新していくだけで十分楽しいと思っていたから。
でも、何回か遊んでいるうちに、「今日はどのくらいの順位なんだろう」とふと思った。自分がそう思うなら、きっと他の人も思うだろう。
デイリーランキングにしたのは、「毎日リセットされる」というのがポイントだった。累計のランキングだと、上位が固定されてしまって、新しく始めた人はまず追いつけない。でもデイリーなら、毎朝みんな同じスタートラインに立てる。今日だけは1位になれるかもしれない。その「今日だけ」の感覚が、もう一回遊ぼうという気持ちにつながるんじゃないかと思った。
開発していて思うのは、アプリって一回リリースして終わりじゃないということだ。出してみて初めてわかることがある。
父親の「見えない」もそうだし、自分で遊んでいて「ランキングほしいな」と感じたのもそう。使い続けることで、少しずつ「こうしたほうがいい」が見えてくる。
個人開発は、大きな会社のアプリみたいに大量のユーザーテストはできない。でも、自分自身がいちばんのユーザーであることと、身近な人の声に耳を傾けることで、少しずつ良くなっていく。
その「少しずつ」が、個人開発の面白さなのかもしれない。
父親はいまもたまにナンバータッチで遊んでくれている。タイムはそんなに速くないけど、「前より見やすくなった」と言ってくれるので、それでいい。
アプリは、誰かに使ってもらって初めて完成する。そんなことを、小さなゲームアプリから教わった。



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