個人でiOSアプリを開発・リリースしている方の中には、App Storeに表示されるディベロッパ名が個人名のままで気になっている方も多いのではないでしょうか。私もその一人でした。12個のアプリをリリースしてきた中で、ずっと個人名が表示されていたのが気になっていました。
今回、屋号「CSclub.****」へのディベロッパ名変更に成功しましたので、その手順を詳しくご紹介します。
Apple公式ルールとの矛盾
まず最初に立ちはだかったのが、Apple公式の以下の記載です。
「屋号、架空事業名、商号、支店名での登録はできません。」
1月にAppleDeveloperの登録をしてから、個人事業主は個人名でしか登録ができないと思っていたので、半ばあきらめていました。
しかし実際には、個人事業主の屋号で変更できた事例がブログ記事として存在していました。ダメ元で試してみることにしました。
ちなみに、住所だけは前もって先月変更しているので、今回は名前の変更だけ行いました。
必要な準備
1. D-U-N-S番号の取得
D-U-N-S番号とはDun & Bradstreet社が管理する9桁の事業者識別番号です。ここが一番面倒な部分ですが、やり方さえ知っていれば無料かつ1週間ちょっとで取得可能です!
申請方法はApple Developer経由の無料申請が一番おすすめです。Apple IDがあれば誰でも申請できます。
申請手順
- AppleのD-U-N-S番号ページ(https://developer.apple.com/jp/help/account/membership/D-U-N-S/)にアクセスして「D-U-N-Sが付与されていないか確認」をクリックし、Apple IDでログインします。
- ログイン後「D-U-N-S番号の検索」ページにリダイレクトされるので、開業届を提出した情報を入力し「続ける」をクリックします。
- 「あなたの組織が見つかりませんでした。」と表示されればOKです。「組織名」「住所」「電話番号」等を入力し、画面下部の「送信する」をクリックで申請完了です。 ※稀に似たような屋号でD-U-N-S番号を取得している人がいる場合、組織が見つかってしまい申請画面に進めないケースがあります。その場合は「法人名」に仮名(本名など)を入力して申請してください。後日、東京商工リサーチから届くメールで、正しい、「組織名」を伝えれば修正してもらえます。
- 申請後、1〜2営業日ほどでメールが届きます。いくつか質問事項があるので、回答し「開業届の控え」をメールに添付して返信します。
- メール件名:【DUNSナンバー:ご確認】[屋号名](Apple)
- 東京商工リサーチとのメールやり取り完了後、4〜5営業日ほどでD&B社よりD-U-N-S番号が払い出されます。 ※払い出しからAppleに番号が認識されるまで最大2週間程度のタイムラグがある場合があります。
補足
- 取得は完全無料
- 開業届の電話番号と申請時の電話番号が異なっていても問題なし
- PDFなど書類を添付する場合は5MB以下に圧縮して送付すること(Macのプレビューアプリ →「書き出す」→ Quartzフィルタで「Reduce File Size」を選択)
2. 事業用Webサイトとメールアドレス
Appleから「ドメイン名が企業に関連付けられたWebサイト」が必要と言われます。
- 独自ドメインのWebサイトが必要(SNSやnoteは不可)
- そのドメインのメールアドレスも必要(GmailなどフリーメールはNG)【確認のためにコードが送られてきます】
私の場合は屋号と同じ「csclub-blog.tech」の独自ドメインサイトを持っており、同ドメインのメールアドレスは、持っていなかったのですが、今回このためにwebメールアドレスを作りました。
アプリをApp Storeに掲載する際にもWebサイトが必要になるため、事前に独自ドメインとメールアドレスを取得しておくことを強くおすすめします。
3. Apple IDの2ファクタ認証
Apple Developer Program で使用する Apple Account で 2 ファクタ認証を有効にする必要があります。携帯に6桁のコードが届く設定になっていれば、すでに有効です。
申請手順
Step 1:Appleサポートへ問い合わせ
- Apple Developerにログイン
- メンバーシップの詳細画面で「情報を更新」をクリックして手続きを進めます。
- 「個人名」の欄を「屋号」に変更して、D-U-N-S番号を入力しテキスト欄に以下の内容で入力して送信【住所も同時に変更する場合はここでできるようです。】
D-U-N-S番号を取得いたしました。
個人アカウントから組織アカウントへの変更手続きをお願いしたいです。
セラー名を屋号の「Cxxxx」に変更希望です。
D-U-N-S番号:XXXXXXXXX
Step 2:Appleからの移行案内メールへの対応
Appleから移行案内メールが届きます。メールには以下の確認事項が記載されています。
- 2ファクタ認証が有効であること
- 有効なWebサイトと、ドメインに紐づいたメールアドレスがあること【このアドレスに本人確認の確認コードが送られてきます】
- 銀行口座の確認
準備が整ったらご連絡くださいとのこと。以下の文章で返信します。
移行の準備が整いました。
・2ファクタ認証:有効済み
・Webサイト:https://csclub-blog.tech/
移行手続きをよろしくお願いいたします。
Step 2-1:Apple Developerからのリンクへの対応
「移行手続きをお願いします」と返信してから2営業日ほど待つと、AppleSupportではなくApple Developerから登録内容更新用のリンクが送られてきます。
しかしこのリンク先は、個人事業主は利用できないサイトです。
⚠️ 一度リンクをクリックして入力を試みてください。エラーが出て入力できないことを確認したら、次のステップに進みます。
確認後、AppleSupportの担当者へメールで以下のように伝えます:
Apple Developerから送られてきたリンクからサインインすると
エラーが表示されて入力できませんでした。
入力可能なリンクを再送していただけますでしょうか。
すると今度は入力可能な別のリンクが送られてきますので、そちらから情報を入力してください。
Step 2-2:組織アカウントへの変更完了
情報入力後、数営業日待つと組織アカウントへの変更が完了します。
※変更前に電話で本人確認が来るという情報もありましたが、筆者の場合は特になかったです。
Step 3:App Store Connectのビジネスセクションで手続き
App Store Connect →「ビジネス」に移動すると、以下の2つのエンティティが表示されます。
- Chi******(旧・個人アカウント):1アクション保留中
- CSclub.****(新・組織アカウント):保留中(新規法人)
この状態でしばらく待っていましたが、自動で切り替わるのかと思いきや、組織アカウントとして契約への同意、銀行口座の登録、税務情報の入力をしないと進んでいかないようです。
「CSclub.****」をクリックして以下の手続きを進めます。
契約への同意
- 無料アプリ契約
- 有料アプリ契約(「利用規約を確認して同意」をクリック)
銀行口座の登録
既存の個人名義口座でも登録可能です。
納税フォームの入力
U.S. Certificate of Foreign Status of Beneficial Owner(W-8BEN相当)
- Type of Beneficial Owner:Disregarded entity
- Beneficial Owner:自分の名前
- Title:Owner
U.S. Substitute Form W-8BEN-E(法人用)
- Chapter 3 Status:Disregarded Entity
- Foreign TIN:マイナンバー
- Part III(租税条約):
- 日本居住者であることにチェック
- 条約の恩恵を受けることにチェック
- Type of limitation:Other → Article 12
- 源泉徴収税率:0%
- Income from the sale of applications にチェック
これにより**米国での源泉徴収税率が30%→0%**に軽減されます。
Step 5:DSA(デジタルサービス法)対応
EUの国(イタリアなど)でアプリを配信している場合、デジタルサービス法のコンプライアンス対応が必要です。
アプリ内課金がある場合は「DSAに基づくトレーダーです」を選択し、住所・電話番号・メールアドレスを登録します。
※日本でしか配信しない場合は必要ないようですが、私の場合最初に175か国配信を選択していたために、以前から「対応してください」と、赤い表示が出ていたので今回対応しました。
Step 6:Small Business Programへの申請
年間売上100万ドル以下であれば、App Store Small Business Programに申請できます。
有料アプリ契約の内容に同意すると、App Store Connectから自動でメールが来ます。その中に「申し込みリンク」があります。
申請すると手数料が**30%→15%**に半減されます。ぜひ申請することをおすすめします。
Xcodeへの影響
移行処理中に、アプリのバージョンアップ、新しいアプリのリリースをしようとした場合、以下のエラーが発生することがあります。
No Account for Team "XXXXXXXXX"
No signing certificate "iOS Distribution" found
これは移行処理中の一時的なものです。移行完了後にXcodeを確認すると、TeamがCSclub.****に自動更新されており、そのままArchive・アップロードが可能になります。
注意点まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 既存アプリへの影響 | なし(レビュー・DL数はそのまま) |
| Team ID | 変わらない |
| Apple ID | 変わらない |
| 移行中の証明書操作 | 不可(移行完了後に対応) |
| 銀行口座 | 個人名義でもOK |
まとめ
Apple公式には「屋号での登録は不可」と記載されていますが、個人事業主として実際に屋号へのディベロッパ名変更が可能でした。
D-U-N-S番号の取得から始まり、Appleサポートとのやり取り、各種手続きを経て、無事にディベロッパー名をCSclub.****に変更することができました。
同じような状況で悩んでいる個人開発者の方の参考になれば幸いです。
この記事は実際の手続き体験をもとに作成しています。Appleの仕様は変更される場合があります。
Apple storeにリリース済みのアプリのディベロッパ名が全部書き換わるのにはまだしばらく時間がかかりそうです。


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